性病、STD検査を怖がらないで

淋病の特徴

古くは旧約聖書の時代から知られる有名な病気である。主に男性に症状が現れやすく、患者数は圧倒的に男性が多い。もっとも、女性の約8割は無症状だといわれており、感染力自体に男女差は認められないので、パートナーの感染が判明した場合、症状がなくても感染していると考えた方が自然だ。
病原体は、淋菌という大きさ0.6〜1.0μmのグラム程度の陰性双球菌であり、世界中に普遍的に存在する。淋菌の抵抗性は極めて弱く、熱に対しては55℃ 5分以内に死滅し、低温や乾燥に対しても弱い。しかし現在、抗生物質に抵抗力を持つ「耐性淋菌」が増加傾向にあり再び感染が増加している。クラミジアなど淋菌とよく似たの症状が現れる病原体は他にも多い。

感染経路

感染源となるのは、粘膜からの滲出物であり、感染経路は、尿道、肛門・直腸、オーラルセックス時などにおける口腔内である。感染原因は、ほとんどすべて性交によると言っていい。キス、トイレの便器、タオル、食器等からの接触を通じて感染することは、ほぼない。

症状

男性は尿道炎をおこしやすく、感染後2日ないし9日の潜伏期を経て、尿道に軽い痒みや熱感をともない排尿時に痛みをともなう。尿道口から最初は透明な粘液、次いて黄色くてドロドロとした膿が尿とともに出るようになる。この状態を放置すると、血尿がでるようになったり前立腺炎・副睾丸炎となり後遺症として尿道狭窄がおこる。又、 直腸内に感染した場合には、便意、痛み、放屁、腸出血、痔、膿便、血便、下痢などの症状がでる。

 

女性の場合には、感染後数日でおりものの増加、性器のかゆみ、尿道・・膀胱炎をおこすことがあるが、症状は軽いため、気付かないことも多い。しかし、膀胱炎を起こすと、頻尿や排尿痛などを伴うので発覚することもある。その後、感染を放置すると子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、子宮周囲炎、骨盤腹膜炎などに進展し、腹痛や発熱を生じるだけでなく、不妊の原因にもなり得るため早期の治療がのぞまれる。なお、口腔内に感染した場合には、喉の痛み、咳、上気道部の鬱血などを生じ、単なる風邪と勘違いしてしまう可能性があるため注意が必要である。

検査方法

男性の場合、尿検査や膿などの分泌物を培養する検査で高い確率で検査・診断することが可能。
女性の場合、男性の場合と同様、尿検査や膿・おりものなどの分泌物を培養する検査だけでは正確な診断を行える可能性は60%程度と言われており、遺伝学的方法の検査を併用することが望ましい。女性の場合男性と比べ自覚症状が乏しいにもかかわらず、子宮外妊娠、不妊症、母子感染など重篤な合併症を生じうるので、正確な検査・治療を強くお勧めする。

治療方法

アモキシシン(オーグメンチン)・エリスロマイシン・ミノマイシンなどの適切な抗生物質を用いた治療により、数日で感染性が無くなり、速やかに治癒する。
治癒せずに慢性化した場合、関節炎、心膜炎、肺気腫などを起こす。感染した淋菌が薬剤耐性菌であった場合、完治に時間がかかる場合がある。一旦治癒しても、再感染があり得るので、パートナー共々、診療を受けることが望ましく、自身の勝手な判断での服薬の中断などは淋菌に耐性を持たせる原因となるので注意が必要である。