性病、STD検査を怖がらないで

トリコモナスの特徴

トリコモナスは、牛や鳥類など動物界に広く分布する原生動物鞭毛虫類に属する原虫の一種でありる。すべてのトリコモナスが人に寄生するわけではなく、人に寄生するトリコモナスには、腸トリコモナス、口腔トリコモナス、膣トリコモナスの3種類があるが、その中でもSTDとして重要なのは膣トリコモナスである。
このトリコモナスは、健康な女性でも4〜10%は感染しており、婦人科疾患を有する患者の30〜50%が感染していると言われている。これに対して、男性の場合は感染率が1〜2%と低いのが特徴的である。

感染経路

性交渉での感染に限定されず、下着・タオル・トイレ・銭湯・温水プールなどでの感染の可能性も捨て去ることができない。

症状

男性の場合、感染してもほとんど自覚症状はなく、分泌物の増加、陰部に軽い不快感が感じられるだけである。男性は感染しても症状が軽いため、治療せずに放置されることも多いが、たとえ症状がなくとも性的パートナーへの感染源とはなり得る。パートナーが感染していた場合70〜80%程度の確率で自身も感染しているため治療することが必要である。
女性の場合、主たる症状は膣炎である。膣トリコモナスが女性の膣に感染すると、黄色っぽくにおいの強いおりものが出てくる。同時に、外陰部の痒み、熱感などが見られ、排尿時に痛みあるいは不快感が生じる。その後症状が進行すれば、おりものに血がまざるようになり、膣壁に黄色の分泌物を伴う小さな顆粒状もしくは斑点状の出血班がでてくることもある。一旦、膣トリコモナスが感染すると、他のSTDに感染する可能性が高まるため、膣トリコモナス感染時には他のSTD、特にクラミジア、淋菌との混合感染に注意する必要がある。

検査方法

おりものを採取し、顕微鏡などでトリコモナスの有無を調べる。

治療方法

メトロニダゾ−ル・チニダゾール(ハイシジン)などの抗原虫薬を投薬され、これを7〜10日間内服する方法で行われる。同時に膣内洗浄を行う場合もある。
なお、メトロニダソールには発癌性、変異原性等の副作用があるため、妊娠初期の妊婦などにおいては投薬されることは通常避けられ、代わりに局所療法としての膣錠治療となる。